2018年3月28日 茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例の賛成討論

私は議案第11号 茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例の制定について賛成の立場から討論します。

この条例は前文にもあるように、障害のある人にとって周囲の理解不足や偏見のほか、障害への配慮が十分でない、仕組みや慣習といった社会的障壁により、生きづらさや差別を感じる状況にあるとの認識に立ち、障害を理由とする差別をなくし、障害の有無にかかわらず、お互いに人権や尊厳を大切にし、支えあう「ともに生きるまち茨木」を実現するためのものです。

そのために基本理念として、第3条で条例の名称にもなっている「誰もが安心して、暮らし続けるまちづくり」を推進するために、障害に対する理解を深め、社会的障壁をなくすための環境整備から、情報の取得および意思疎通、あらゆる分野の活動に参加する機会の確保、建設的な対話による相互理解、合理的な配慮の提供などが掲げられています。

これらの目的と基本理念に基づき、市には「ともに生きるまち茨木」の実現に向けての施策を講じることの責務を、また市民、市民活動団体、事業者には努力義務を課しています。

以下、差別解消に向けたあっせん、勧告、公表の手続き、また言語としての手話との認識に立って学ぶ機会の保障と、その他の意思疎通支援の具体的な取り組みなど規定しています。

今回の条例制定はこの4月で2年となる障害差別解消推進法を受けて、また従来の障害者基本法の基本的な理念に立ち、自治体としても積極的に取り組む姿勢を示したもので高く評価するものであります。

また昨年の2月には障害のある人もない人も共に安心して暮らせるまちづくりを目指しての講演会、また12月には茨木市障害者施策に関するシンポジウムが開催されるなど茨木障害フォーラムを始めとする障がい者団体、関係者の取り組みが結実したものと喜んでいます。

しかしながら、本会議で指摘したように、この条例には被後見人の職業や資格を制限する「欠格条項」の削除が盛り込まれず、画竜点睛を欠いていると指摘せざるを得ません。

この件について隣の吹田市では欠格条項訴訟が起き、また明石市では欠格条項を撤廃する条例も作られています。

障害者の雇用については2016年4月から障害者雇用促進法が施行され、雇用における差別の禁止、働くに当たっての支障を改善するための「合理的配慮」の提供義務が事業者に課せられることになりました。

政府も権利擁護の成年後見制度における欠格条項が就労や社会参加を奪ってきたことから、今国会に欠格条項を全廃することを決めて関連法案を提出すると伝えられています。

森友、加計疑獄事件の進展によっては予断を許しませんが、提出されれば満場一致で可決するものと見られます。

市のパブリックコメントに寄せられた「欠格条項を排除してほしい」との要望に対して、市は「共に生きる社会の実現に寄与することを目的としていることから、ご意見の内容は本条例にそぐわない」と門前払いしていますが、全く非礼であり、言語道断だといわなければなりません。

なぜなら今回の条例の前文には「さまざまな人が働いている」とあり、第3条の基本理念にも、「誰もが安心して暮らし続ける街づくりの推進は、次に掲げる事項を基本にして行われなければならない」として「障害のある人が社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を確保されること」とあります。

であるなら障害者の働く権利を奪っている欠格条項をなくすことはこの条例の目的、基本理念に全く合致しているのではないでしょうか。

私は2年前の6月議会で、被後見人、被保佐人でも職員として雇用すべきだと質問しました。当時の総務部長は「他市の条例を踏まえ、この議題については研究していきたい」と答弁し、福岡市長は「雇用を促進していく方向で研究していきたい」と答弁、この答弁は多くの人々に勇気を与えてきました。

しかし、この間、答弁に沿っての努力が見られないままに、パブリックコメントに寄せられた「欠格条項撤廃」の要望を「本条例にそぐわない」と拒否したのです。

また今議会の答弁は「国の動向を注視したい」というものでした。

国が法改正を提案する前にせめて「欠格条項は撤廃との考えに立っている」との意見表明も求めましたが、これも拒むにあたって、いったい2年前の質問と答弁は何だったのかと、市長の姿勢に強い不信感を覚えています。

市長は自らの議会答弁に責任を持たなければなりません。また担当部局も市長答弁をどう具体化していくのか緊張感をもって、市長とともに検討と具体化に努めなければなりません。その緊張関係が行政と議会とのあるべき姿ですし、市民もそれを望んでいるのではないでしょうか。

国が法律改正した後で、それに応じるだけの姿勢には、地方自治体としての矜持はどこにもなく、茨木市は個性のない単なる国の出先機関になってしまいます。

改めて市長始め職員の皆さんに地方自治制度への理解と茨木市への誇りをもって先進的な行政を推進されることを要望するものです。

以上苦言も呈しましたが、この条例が根強く存在する社会的障壁による生きづらさや差別を取り除き、条例の名称ともなっている「障害のある人もない人も共に生きるまちづくり」に貢献することを期待して私の賛成討論とします。

※こちらの記事は旧ホームページの内容を移植した物で、日付も当時のものです。