2016年12月16日 議員定数を削減する改正案、議員報酬をカットする改正案への反対討論

私は議員定数を削減する改正案に反対し、議員報酬をカットする改正案にも反対の立場から、討論を行います。

まず、定数削減の改正案についてであります。
定数削減に反対する理由は、その削減の根拠が極めて薄弱だということであります。削減理由を問われて、選挙で定数4減を公約したが2減しかできていない、定数4減の公約を実現するための2減だとの話がありました。しかし、1議員や1会派の公約に議会全体が拘束されるいわれは全くありません。

また、なぜ28人の議員にするのかについて、議員定数・議員報酬等のあり方検討会議の報告には、人口1万人に1人の議員を考えている。数字の根拠を言われると難しいが、人口1万人に1人の議員が説明しやすい。根拠はないが、説明しやすいからこれで行くとの発言も記載されておりました。単なる語呂合わせの類いで、実にいいかげんであります。そんなレベルで、民主主義の根幹である議会、その定数を議論するには、余りにも民主主義に対する認識が浅いと言わざるを得ません。質疑でも指摘いたしましたが、この討論でも再度指摘したいと思います。

質疑の中でも明らかになりましたが、人口1万人に1人の議員というのは、全国共通の基準でもなければ、理論的根拠があるわけでもありません。もし人口1万人に1人の議員が原則なら、茨木市の人口が30万人になったら定数を2人増加して30人、32万人になったら32人にふやす。こうなりますが、ふやす際の根拠としても、この理屈が出てくるのでしょうか。減らす際には用いるが、ふやす際には用いない。そんなものは基準でも何でもありません。また、人口の多い政令市と少ない市町村の議員定数を判断するにも、人口1万人に1人の議員は基準にはなりません。

結局、提案の動機になっているのは、民意は議員削減であり、自分たちはその意を受けて削減を提案した。そしてそれ以外の議員は民意を無視し保身に走る議員である。この構図をつくり、これを宣伝して当選したい。ただこれだけのための提案であり、当選を呼び寄せる手段でしかないのであります。実際、検討会議の報告には次のような記述がありました。定数削減を言う人が票を獲得する。ネット選挙で若い人が強いのではないか。定数削減の議案に賛成、反対の議員をチラシに書いてまくという話は会派で話をしていきたい。これは維新会派の発言でありますが、選挙目的が露骨過ぎて話になりません。既に選管は定数30人で決定し、候補者説明会も行っています。1カ月もすれば選挙期間となります。なぜこの時期に無理やり定数を変更しようとするのか、納得できる答えはありませんでした。

また、定数は議会全体にかかわるものであり、本来は全体での合意形成を必要とするものであります。ところが、合意がないまま、一方的な提案がなされました。協議しながら妥協点を追求するという会議のあり方を否定するものであり、この点も納得できるものではありません。

また、検討会議では、削減理由として、財政状況は楽観できない、だから経費節減だとの意見も出されていました。ところが、本会議になると、議員2減で浮いたお金は議会事務局の強化など議会改革に使うとの答弁であり、この答弁は検討会議での発言とは、全く異なるものであり、削減賛成の議員の間で十分な議論と合意があったとは思われません。

また、財政状況は楽観できないとの認識をされていますが、具体的な財政改善に取り組んできたのか、その効果はどれぐらいだったのかという私の質問にも明確な答えを示すことはできませんでした。ポスターの公費負担で上限やその近くまで使ってきたが、今後どうするのかという問いに対しても答えは全くありません。これでは財政状況は楽観できないとの理由を挙げても何の説得力も持ちません。身を切る改革を水戸黄門の印籠みたいに掲げても、羊頭狗肉だと見破られるだけのことであります。

私は幾度も指摘してきましたが、議会の経費は全体の1%にすぎませんし、議員2人削減で浮く経費は、そのうちのごくごく一部であります。それよりも議会全体の99%の中から削減すべき無駄を見つけるのが、行政をチェックする議員の本来の仕事だと考えています。議会のちまちましたことに、どうしてこれだけの時間を費やすのか、行政のチェックにこの時間を使うほうがいかに有効かと思わざるを得ません。

以前、ほとんどの会派が与えられた時間をフルに使って質疑し、お互いの頑張りを褒めたたえ、議場全体が沸いたことがありました。あのような光景こそが、茨木市議会のあるべき姿だと私は考えています。
もっと本質的な議論をしたいと思います。

まず、議会の役割についてであります。議会の役割は、何よりも議会のチェックであります。首長の権限は、予算や条例などの議案提出や人事など、幅広いものがあります。その首長の行政運営を、議会は議案の議決などで監視する役割を担っています。この役割は、立憲主義、三権分立などで権力の暴走をチェックし、食いとめる、その思想の延長にあります。

暴走するのは安倍首相だけではありません。大阪府知事や大阪市長を務めた橋下氏が、再三、裁判で敗訴せざるを得なかった数々の暴走も、これに歯どめをかけるべき国会や地方議会の弱体化に大きな原因があります。チェック機能を軽視する考えには、立憲主義、三権分立、権力をどう考えるか、政治というものに対する基本的認識の欠落を感じざるを得ません。

また、議会は政策提案に努めるべきだとの意見もありますが、行政のチェックなしに実のある政策提案などできるはずもなく、何の意味もありません。

私は、行政の仕事はだんだんとふえて複雑化していると考えています。提案者の皆さんも、そのことを認めておられました。もちろん仕事だけではなく、それに従事している職員も、正職員だけではなく非正規、また委託先の労働者まで加えると、多くの皆さんが茨木市の行政にかかわっています。それら全ての仕事をチェックする議会が、議員を減らしてきちんとチェックできるのか、行政との緊張感が保てるのか、私は大きな危惧を覚えるものであります。定数削減を唱える皆さんは、チェック、それによる緊張感についてどう考えているんだろうか、ただ賛成するだけだから、それは必要ないと思っているのではないかとさえ感じてしまいます。

また、二元代表制、市長と議会は車の両輪と言われておりますが、今の議会がそれに値する実力を備えているでしょうか。極めて非力というのが私の正直な思いであります。そして、冷静に謙虚に、そのことを認めてこそ、議会は成長できる、真の改革につながるというのが私の認識であります。これ以上議会としての戦力である議員を減らしてどうするんだと言いたくなります。

しかし、質疑の中で、議員は議員の視点があり、行政そのものを知らなくても構わないとも受け取れる発言がありました。議員の仕事には、議会に市長から提案する予算、条例の制定、改廃、人事案件の審議があり、また議会として条例の提案、国などへの意見書の提出があります。これらへの対応をどうするか判断する際に、市の職員がどのような仕事をされているのか、できる限り知った上で判断したいと考えるのが、議員として当然のことであります。それこそが定数減よりも市民が求めていることではないでしょうか。

また、できる限り議案や資料に目を通すのはもちろん、時には情報公開制度も使い、得られた資料をもとに行政をチェックする。議会に臨むに当たっての真摯さこそ、市民が議員に求めているものではないでしょうか。

そのような努力もなしに、行政の実情を何にも知らないという自覚もなしに、議員は議員の視点があるというのは、私には傲慢としか思えません。職員からすれば、何も知らないで、また何も知ろうとしないで、何が議員の視点だと軽く見られるだけのことであります。

定数を削減すれば、それだけ市民の多様な意見が反映されにくくなるというのは理の当然であり、この点からも定数の削減に反対するものであります。

また、議員定数を削減し、ハードルを高くすることは、大きな組織が支援する候補者はいざ知らず、市民の立候補意欲をそぐものでしかありません。12月7日の特別委員会で、マイノリティー、少数者の意見を代表する候補者は当選しにくいとの意見も出されました。若者や女性を初め、新鮮な顔ぶれが大勢立候補することが、選挙への関心を高め、投票率の向上にもつながります。投票率が高ければ、市議会への関心も強まり、市民と議会との間にも好ましい緊張関係ができます。議会の活性化にもつながります。この点からも、ハードルを高くする議員定数の削減には反対するものであります。

また、少数精鋭との議論もありましたが、議員として資質があるから当選するのではなく、票が多いから当選するのでありまして、当選した人が必ずしも議員としての力量があるというわけではないということも最後に申し上げておきます。

報酬削減については、2011年の3月議会で討論したときと私の考えは変わりません。議員の職責を自覚し、活動するとなれば、それは片手間ではできず、専従専任でしかできないものであります。国会法の第4章、議員の第35条の規定に、議員は一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受け取るとあり、国会議員の歳費は中央官庁の事務次官級の給料を下らないとされてまいりました。これを1つの根拠として、自治体議員にも適用し、多くの自治体では、部長級の金額を議員報酬の基準にしてきた経過があり、本市も同様の対応をとってきたのであります。現在の議会制度の中では、現在の議員報酬額は妥当だと私は考えており、削減の改正案には反対するものであります。

以上、私の議員定数の削減、議員報酬の削減に反対する見解を述べて討論を終わりたいと思います。ご賛同をお願いいたしまして、私の討論を終わりますけれども、本当に今回の、この定数削減、議員報酬、ぜひ市民の期待に応える結論を出してほしい。そのことを最後に申し上げます。
以上です。(拍手)

 

※こちらの記事は旧ホームページの内容を移植した物で、日付も当時のものです。