2016年9月5日 茨木市議会議員及び茨木市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部改正について反対討論

私は、改正案に反対の立場から討論いたします。

まず、私は誰でも選挙に立候補できる権利を保障するために、選挙に必要なポスター作成費、選挙カーのレンタル代、選挙カーのガソリン代を公費で負担することの意義と必要性は十分納得しているものであります。

しかしながら、条例で定められている個々の上限額を見た場合、余りにも実勢価格とかけ離れているポスター代やあり得ない走行距離、これを前提としたガソリン代もあり、現行条例や改正案については大きな疑問を持たざるを得ません。

先ほどの質疑でも明らかになったように、引き上げる改正案には何の根拠も正当性もありません。改正案提出の契機になったのは、総務大臣が3年ごとの見直しを行い、都道府県と選管に施行令が改正されたことに対する理解と格別の配慮を求め、府選管から市の選管に、総務大臣の文書を添付しての通知が届いたというだけのものであり、市がこれに従わなければならないという性格のものではありません。

また、条例改正案を提出する過程で、前回選挙の公費負担の実態について、何ら検討されていなかった事実も明らかになりました。この点、議案提出に当たっての真摯さが欠けていると指摘せざるを得ず、大変残念に思っています。

また、選管局長の答弁にもありましたように、現在の公費負担が低過ぎて選挙できないとの苦情や不満がないことは、お聞きのとおりでありまして、引き上げる根拠そのものがないと主張するものであります。
それが議場におられる議員諸氏の実感でもあることは、答弁中の議場の雰囲気からも明らかであるというふうに私は思います。

さて、引き上げ対象となるガソリンの公費負担についてでありますけれども、2013年市議選、今春の市長選、市議補選で45名の候補者がありましたが、その中でガソリン代の最高額は2万1,534円です。
今回の改正は、これを1日当たり210円引き上げて7,560円とし、1週間で5万2,920円にするものであります。現在でも先ほどの最高額の2.4倍までなっているわけで、本来なら引き下げの改正案になるべきものであります。これを最高額の2.5倍に引き上げるのは全く逆さまであり、市民の理解は到底得られるものではありません。

次に、ポスターの問題であります。
本市の前回市議選におけるポスター公費負担の状況については先ほど質疑し、次の点が明らかになりました。

1点目は、申請額の最も高いのが限度額そのものの52万7,436円、これが3候補者です。なぜ1円も異なることなく限度額ぴったりなのか、私には大きな疑問です。

2点目は、最低は14万8,000円であり、最高の52万7,436円との差は38万円となりますけれども、なぜこのような大きな差が生じるのか納得できる説明はありません。

3点目は、最高上限額の96%となる50万5,386円が同一業者で8候補者でありますけれども、候補者の所属政党やデザインが大きく異なるのに、なぜ同一価格になるのかの疑問であります。

4点目は、同一業者がつくり、公費負担があるのに、8候補者の50万5,386円の次に40万円台もなければ30万円台もなく、一挙に23万1,525円と低くなり、最低が14万8,000円となっている点であります。極めて不自然としか言いようがありません。

質疑の中では、全国各地の自治体でポスターに関する不正請求が続々と発覚し、住民監査請求や訴訟になっていると紹介いたしましたけれども、これは選挙カーのガソリン代についても同様であると申し添えます。

多くの自治体で市長提案、議員提案により、このような詐欺、不正請求の原因となっている高い上限額を引き下げる条例改正が行われています。

愛知県日進市議会においては、議員提案という形で市長選、市議選の候補者に支給されるポスター制作費の公費上限額を引き下げる条例改正案が提案され、全会一致で可決されました。また、東京国立市では市長提案でポスター限度額が10万円引き下げられ、岐阜県山県市では選挙公営制度そのものをなくす条例が提案され可決されております。

私は、選挙のたびに、全てのポスターを記録として保存しております。前回の14万8,000円や15万5,584円といった30万円未満のポスターは19枚ありましたが、いずれも30万円以上のポスターである20枚と比べても何の遜色もありません。

これは現在の上限額の3割程度でも、十分に立派なポスターが作成できるという証明であります。ネットを見てもそのことを証明するものは幾らでもあり、高額の上限額というのは技術が発達していないときのものであって、現状とは大きくかけ離れたものと指摘するものであります。上限額を超えて凝ったポスターをつくりたければ、もう自費でやったらいいだけの話であって、高い上限額を設定する理由には何らなりません。経済的事情いかんにかかわらず、誰でも候補者になれる権利を保障する公営制度とは全く無縁のものであります。
議員になろうとする者が、制度があるからといって限度額まで請求し、ぜいたくを求めることは、今や許されない時代であります。また、みずから税金をぜいたくに浪費する議員が身を切る改革と言っても誰も信用しませんし、公務員や役所にコストや効率性を求めるのは矛盾であり、期待することはできません。
地方自治法第2条第14項では、地方自治体は、その事務を処理するに当たっては、最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならない。また、地方財政法第4条第1項では、地方自治体の経費は、その目的を達成するための必要かつ最少の限度を超えて、これを支出してはならないと定めております。
過去の実績を無視し、いたずらに税金を浪費させる今回の提案は地方自治法、地方財政法からも認めることはできません。

以上が私の反対理由です。
議員皆様の賛成をお願いして、討論を終わります。
ありがとうございました。

 

※こちらの記事は旧ホームページの内容を移植した物で、日付も当時のものです。