2018年9月28日 茨木市議会政務活動費の交付に関する条例の一部改正について反対討論

昨年末に設置された特別職報酬等審議会は1月末に答申を出しました。その内容は議員報酬について「非常勤の特別職である市議会議員については、市民ニーズの増大と行政需要の多様化の中で、その職務は複雑・多様化し、ますます常勤化・専門化が進んでいる状況にあるとして、議員報酬の額については、市民の代表者としての議決権を有する議員が安んじてその職責を全うし、市民の信託に応えることができることに十分留意しつつ」として、そのまま据え置きにし、

政務活動費については「本市においては、数年にわたり政務活動費に関する住民訴訟が提起されるなど、さらなる使途の明確化が求められている。
その状況において、平成28年度における政務活動費の執行率が約7割に留まっていることや、使途の明確化をより一層徹底するためにも政務活動費を引き下げるべきとの意見が出された」とし、政務活動費を4万円から2万5千円に減額するとなっています。

果たして、この答申は客観的な評価に耐えられるものでしょうか。
政務活動費は地方分権一括法の施行により、地方公共団体の自己決定権、自己責任が拡大する中で、地方議会が担う役割は、ますます重要になっており、地方議会の活性化を図るためには、その審議能力を強化していくことが必要不可欠であり、地方議員の調査活動基盤の充実強化を図る観点から、2000年から地方自治法に政務調査費、2013年3月からは政務活動費としての交付制度が設けられたものであります。

つまり地方自治法は地方議会が担う役割の重要性を認識し、その上で地方議会の活性化を図るため、地方議員の調査活動基盤の充実強化のための政務活動費だとして、議会、議員の役割と政務活動費の役割は密接不可分の位置づけとなっています。

ところが答申は「市議会議員については、市民ニーズの増大と行政需要の多様化の中で、その職務は複雑・多様化し、ますます常勤化・専門化が進んでいる状況にある」と同様の認識に立ちつものの、議員活動と政務活動費が密接不可分との認識はうかがえません。

政務活動費については残念ながら全国の地方議会で政務活動費の不正、不適切使用が相次いでいます。富山市議会では白紙領収書などを使った不正が相次いで発覚し、14人が辞職し出直し選挙まで行われています。

また大阪においても、身を切ることをスローガンにしているはずの維新所属の堺市議が、政務活動費の不正をめぐっての訴訟で、市が求めていた請求額630万円全額を堺市に返還し、議員辞職に至りました。東大阪市議会でも政務活動費の不適切な計上が次々と発覚して、正副議長を含む31人が計約2953万円を返還しています。
しかし本市ではこのような悪質な事例は当然でありますが全くありません。

政務活動費を引き下げるべきとしている根拠に数年にわたり政務活動費に関する住民訴訟が提起されたことをあげています。答申された方はその訴訟内容、経過、裁判所の判断に目を通されたのでしょうか。

何回も住民訴訟が起こされる不透明さが茨木市議会にあるとの指摘でもあったのでしょうか。私の知っている限り、そんな提言や指摘はなく、適正な使途であるとの判断が95%であったと記憶しています。

今年4月27日判決の政務活動費返還請求事件の3、総括において本件各支出は、いずれも条例所定経費に該当しないものであると認めることができないとして、第4の結論において原告の請求は、いずれも理由がないから、これを棄却するとしています。
ゆえに数年にわたる住民訴訟を政務活動費引き下げの理由にすることには何の根拠もありません。

また政務活動費を引き下げるべき根拠に「平成28年度における政務活動費の執行率が約7割に留まっていること」をあげていますが、単なる平均執行率にどのような意味があるというのでしょうか。何の説得力もありません。

「使途の明確化をより一層徹底するためにも政務活動費を引き下げるべき」に至っては意味不明としかいいようのないものです。金額の多寡に関わらず使途の明確化は当然のことであります。

もし答申の2万5千円となれば北摂7市で最低、大阪府内の政令市を除く31市でも、本市を下回るのは廃止している泉南市、2万円の大阪狭山市、阪南市の3市でしかありません。
審議会の皆さん、提出者の皆さんは茨木市の議員は政務活動、ひいては議員活動に不熱心であると思っているんでしょうか。

一方、本市の議員報酬は府内で3番目の高さとなっています。議員報酬と政務活動費は大方比例するものですが、なぜこんないびつな結論を審議会は出したのか理解に苦しむところです。
以上が政務活動費引き下げに反対するとりあえずの反対理由です。

※こちらの記事は旧ホームページの内容を移植した物で、日付も当時のものです。