2018年9月28日 日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める意見書に賛成討論

日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める意見書に賛成の立場から討論します。

核兵器禁止条約は人類史上初めて核兵器の禁止を明文化したもので、国連会議で2017年7月7日、国連加盟国の6割を超える122カ国・地域の賛成で採択されました。
この条約が効力を生じるには50か国の批准が必要となりますが、すでに15の国と地域が批准しています。

この9月19日、国連で国際条約を担当するビラルパンド条約課長は、国連総会に合わせて行われる署名式で、多ければ新たに10か国が署名するか、署名後の国内手続きを済ませ批准書を提出するという見通しを明らかにしました。同時に「条約の採択から1年間で15の国や地域が批准したことは多くの国が迅速に対応したことを示している」と述べ、条約の早期の発効に期待を示したと伝えられています。

この条約は、その前文に「核兵器の使用による被爆者ならびに核兵器の実験によって影響を受けた人々に引き起こされる受け入れがたい苦痛と被害に留意」することが盛り込まれています。改めてこの「核兵器禁止条約」はどのような意義を持っているのでしょうか。

1点目は、この条約は必ずしも実際に存在する核兵器を直ちになくすものではありません。そうではなく、核兵器は残虐兵器であり、残虐兵器である核兵器を非合法化するという点です。

2点目は、核不拡散条約(NPT)条約の欠点である保有国と非保有国の不平等性を改めた、という点です。

3点目は、核兵器に関わる主要な活動、生産・保有・移転・移転の受領・使用と威嚇・支援と勧誘を非合法化し、同時に核兵器被爆者、被害者への支援が締約国に義務付けられている点です。

4点目は、核兵器保有国が一つも参加しなくても条約が発効するという点です。

日本政府に求められているのは、唯一の「戦争による被爆国」であり、多くの被爆者の苦しみをわが事として受け止めることあり、被爆者の思いを国際社会に向けて発信し、世界から核兵器の脅威をなくすために努力することではないでしょうか。そのためにも、世界の核兵器禁止の流れに遅れることなく、速やかに署名・批准すべきと考えます。

今、核兵器の脅威を取り除くのは、「核抑止力」ではなく、世論と外交の力であることも鮮明となりつつあります。朝鮮半島の非核化を謳った板門店宣言が南北首脳会談で結ばれました。
歴史的な米朝首脳会談においても、朝鮮半島の非核化が合意されました。

今後、完全な非核化の実現のためには、関係各国、国際社会の協調したとりくみが必要になってきます。その点で、核兵器禁止条約という法的な枠組みが国連のもとに成立しているのであり、日本も南北朝鮮もそろって核兵器禁止条約に参加することが、北東アジア地域の非核化にとって最も有効な法的手段だと考えるものであります。

しかし、残念ながら今の安倍政権はじめ、歴代の自民党政権は被爆者の思いに寄り添うことなく、平和を願う国内外の世論に目を背けてきました。

安倍首相自身、官房副長官時代の2002年5月27日の参院予算委員会で政府の政策判断によって、被爆国である日本が核兵器の保有・使用することは憲法に違反しないと発言しています。

また国是として核兵器は「作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則を掲げてきたにも関わらず、米軍が沖縄、岩国や横須賀に核兵器を持ち込んできたことは「有事の際に核再持ち込みを日本政府が認める」との核密約を認めたことからも明らかであり、事実上、アメリカの核武装のなかに取り込まれています。

この日曜日に沖縄知事選は投票日を迎えますが、辺野古に200年使用できる米軍基地の提供やオスプレイの国内自由飛行を認めるなど、日本は米国、米軍による占領支配が続いており、亡くなられた翁長沖縄県知事も「日本の独立は神話である」と断言しています。米国に唯々諾々と隷従する国のどこに誇りがあるのでしょうか。

私は今年の3月議会で核攻撃等を受けた際の避難などが追加された本市の国民保護計画をとりあげましたが、この計画のばかばかしさ、荒唐無稽ぶりに「爆弾位は手で受けよ」という戦時歌謡を思い出したものです。この戦時歌謡は米国との開戦目前の1941(昭和16)年に作られたもので

その4番は
よっつとや 翼賛一家 一億の
意地とゆうのはただひとつ 笑って死ぬこと 進むこと
いざとゆう時ゃ 体当たり ソレ!
爆弾ぐらいは 手で受けよ というものです。

竹やりでB29に対抗するようなものですが、今の政権が核兵器禁止条約に反対し、核攻撃受けた際はと、現実離れした計画を自治体に強いる姿勢に、理性や知性を投げ出し、自らは安全地帯に身を置き、国民の生命を鴻毛のごとく扱った戦前の再来かと考えてしまいます。

この9月24日、明治大学で開かれた核廃絶を訴えるイベントに、女優の吉永小百合さんがゲストで登場。核兵器廃絶に後ろ向きな政府の姿勢を批判したと報道されています。

これによれば吉永さんは、ノーベル平和賞を受けた「ICAN」の国際運営委員を務める川崎哲氏とのトークショーに参加し次のように語っています。

「昨年、核兵器禁止条約が作られたのですが、日本ではまだまだ知っている人が少ないような気がします。私たちが大きな声を出し、何とかして批准して、核兵器のない世界をつくっていくことが大事だと思います」

加えて、原発問題にも言及。国民投票で原発の稼働中止を決めたオーストリアを引き合いに出し、「潔い決断に感銘を受けた」と語り、

「日本は唯一の被爆国。核兵器は絶対にやめましょうと自ら言うべきではないかと思います。核兵器禁止条約ができたので、私たちが(核廃絶の)声を出して政府に働きかけ、『私たちと一緒にやりましょう』と言っていきたい」と続けてました。

ぜひ議員の皆様にも吉永小百合さんのメッセージに応えていただき、意見書への賛同をお願いし私の賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

※こちらの記事は旧ホームページの内容を移植した物で、日付も当時のものです。