2017年3月28日 請願第1号、平成29年度給与所得者等に係る市民税・府民税特別徴収税額の決定・変更通知書(特別徴収義務者用)への個人番号記載の中止を求めることについて賛成討論

請願第1号、平成29年度給与所得者等に係る市民税・府民税特別徴収税額の決定・変更通知書(特別徴収義務者用)への個人番号記載の中止を求めることについて、また同じ趣旨の議員発第7号の意見書に賛成の立場から討論をいたします。

私は、これまでも自公政権がマイナンバーと俗耳に入りやすい言葉を用いながら、市民の利益はほとんどないのに個人番号を押しつけることに反対をしてまいりました。個人番号は、国家が国民の預貯金から医療、プライバシーまで把握をして国民を管理し監視するためのものであり、一方で情報産業には大きな利益を与え、総務官僚の天下り先を確保するためのものであります。また、本来、対等であるべき地方自治体を、法令等によって国の下請機関として、財政的にも過重な負担を押しつけるものとなっております。

さて、今回の請願項目は、表題のとおり、住民税額の決定・変更通知書に個人番号を記載しないでほしいのただ1点でありますが、個人番号の記載は、個人にも事業者にも迷惑千万そのものであります。

まず、この請願に賛成し、個人番号の記載に反対する第1の理由は、個人のプライバシーが侵害されることであります。

昨年1月4日の佐賀新聞によれば、日本世論調査会が行った全国面接世論調査で、個人番号に不安だと感じている人が78%に上っております。この人たちに最も不安に感じることを聞くと、個人情報が漏えいし、プライバシーが侵害されるとの回答が60%と突出して高い結果になっています。

本市における個人番号カードの交付は、昨年1月から始まっていますが、この2月末現在の人口28万562人に対して、わずか2万6,765枚の交付にすぎません。交付率は9.5%、1割にも満たない状況となっています。このことは、北摂各市も同様であり、先ほどの調査でも、個人番号カードを取得したいと思わない人は65%に達しており、個人番号への拒否や抵抗が根強いことを物語っているものであります。
今回の個人番号記載は、このようなプライバシーが侵害されるのではないかといった不安や反対を全く無視したものであり、反対せざるを得ません。

個人番号の記載に反対する第2の理由は、個人の自己決定権が無視されるということであります。
使用者に対して自分の個人番号の提供を拒否している労働者は、多数存在しています。その意思を全く無視して、自治体が個人番号を事業者に通知することは、個人情報の自己コントロール権を侵害し、憲法違反になると言わざるを得ません。

およそ民主国家にあって、国家や自治体は国民市民に対して強制できる存在ではなく、国民市民に奉仕する存在でなければなりません。現在、この原則が逆立ちしたかのような悪法が、安倍政権によって次々に生まれていますが、民主主義の原則は原則であり、これに反することは許されないと強調するものであります。

請願者が指摘するように、自分の情報を誰に提供するのか、またしないかは、個人の自由であり、国であれ、自治体であれ、他者がみだりに第三者に提供することは、憲法第13条の基本的人権を侵すものと言わなければなりません。国民も権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とするのであって、国や自治体はいっときも、このことを忘れてはならないと指摘するものであります。

次に、この請願に賛成し、個人番号の記載に反対する第3の理由は、請願趣旨にあるように、事業者に重い負担を押しつけ、経営を圧迫することになるからであります。

私の知っているところでは、誰もが知っている大きな事業所であるにもかかわらず、個人番号に関する事務については、専門の会社に委託している事例があります。ましてや中小零細事業者にとって、個人番号の管理は大きな負担になるばかりでなく、情報漏えいについても、不安を感じるのは当然のことであります。ましてや漏えいすれば、懲役や罰金を科すとなれば、とんでもないと反対するのは当たり前のことであります。

個人番号の記載に反対する第4の理由は、自治体に対する過重な負担であります。
今会議や委員会の審議で明らかになったように、全国の自治体は対応に苦慮しております。本市も例外ではありません。個人番号の記載に対する自治体自身の迷い、また市民の反発も大きく、総務省の通達とは異なる対応が全国各地で見られています。

東京多摩地区の26市3町1村への聞き取り調査では、12桁をそのまま記載するかとの問いに対し、番号の全部または一部を記載しないと答えた自治体が20団体、番号を全て記載するが2団体であり、記載しないが記載するの10倍になっています。

また、通知書についても、これまでの普通郵便ではなく、簡易書留、特別記録郵便に変更する自治体が相当数に上っています。本市は、特別記録郵便に変更しますが、約600万円の持ち出しを強いられます。簡易書留では、それ以上の負担が生じることになります。そればかりではありません。個人番号の記載が生じたことによって、通知に関する作業は、通知書の作成から発送に至るまで、細心の注意を払わなければなりません。担当する職員への心理的、身体的負担となります。これは配達する郵政労働者も同様であります。
個人番号の記載に反対する第5の理由は、以上述べた個人番号に対する不安や負担の増大を伴ってまで、個人番号を記載する必要はないということであります。

そもそも個人番号の記載がなくても、特別徴収には何の支障もありません。昨年同様、淡々とこなしたらいいだけのことであります。個人番号の記載がなぜ必要なのか、国の根拠は薄弱であり、市の特別徴収義務者が正確な個人番号を市と共有することは、個人の特定を迅速に行うことを可能にするとの説明も何ら説得力のあるものではありません。

討論の最後でありますが、請願者が言うように、地方税の課税権は各自治体にあり、納税通知書も総務省令に大方準じておれば、違法性や罰則が生じることはありません。ぜひ本市においても自主性を発揮して、多くの自治体と同様、個人番号の記載に反対の対応をしてほしいと願うものであります。
以上が私の請願に賛成し、個人番号の記載に反対する理由であります。議員諸氏の賛成をお願いして、討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)

※こちらの記事は旧ホームページの内容を移植した物で、日付も当時のものです。