2018年9月 7日茨木市議会議員及び茨木市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部改正について、反対討論

私は、議案第57号、茨木市議会議員及び茨木市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部改正について、反対の立場から討論します。

この議案は、選挙期間において、候補者のビラ4,000枚について公費負担するものであります。反対する大きな理由の一つは、公費負担として135万円を予定しておりますけれども、これが茨木市議会議員選挙の活性化となり、投票率の向上につながる可能性は極めて低いと思うからであります。

その1点目は、提案内容である単価7円51銭、2種類、枚数4,000枚と、全て国の示した内容に従うことから来る矛盾であります。単価7円51銭となっておりますけれども、A4サイズ両面刷り4,000枚、これが送料と税込みの場合、業界大手では1万円弱であって、市内業者の場合はその5割増しとしても、高い設定と言わなければなりません。実勢価格から余りにも高い設定であれば、ポスター同様、上限額と実際の経費に大きな差が生じ、実際の経費を上回る不正請求が生まれる余地が出てきます。

選挙期間1週間に2種類のビラでありますけれども、選挙期間12日間の衆議院議員の候補者でも2種類つくることはない中で、7日間の市議選で2枚つくることは、99%あり得ない話であります。

枚数の4,000枚でありますが、これは人口に関係ありません。28万1,000人の本市、大阪でいえば最も人口の多い49万4,000人の東大阪市、そして一方、人口の少ない5万6,000人の阪南市でも、4,000枚であります。人口5万6,000人の阪南市で4,000枚がどれだけ効果があるか、私は疑問だと思っています。

しかも、人口が多いほど相対的に4,000枚の効果は薄れるわけでありまして、28万1,000人の本市、ましてや49万4,000人の東大阪市になれば、いかほどの効果かと思わずにはいられません。これは人口いかんにかかわらず、同じ枚数ということから来る矛盾であります。

その2点目は、ビラの配布についての制限です。4,000枚は期間中どこでも配布できるものではなく、答弁にありましたように、選挙事務所、宣伝カーの周辺、個人演説会、新聞折り込みしかできず、極めて窮屈になっています。まず、選挙事務所に来る人は、何百人もありません。宣伝カーの周辺も手渡しできる数はごくわずかであります。

次に、演説会でありますが、手渡しといっても、期間中に開催された演説会は前回選挙で43人の候補者がありましたが、開催した人は半分以下の21人、開催しなかった候補者のほうが22人と上回っています。開催回数も3回が1人、2回が4人、1回が16人で、延べでも27回しかありません。この実績からして、手渡し枚数は多い人でも300枚ぐらいではないでしょうか。しかも、演説会に集まるのは、関心のある支持者であり、ビラを比較して投票する候補者を決める人たちではありません。

あと残るのは、新聞折り込みでありますが、これにしても、新聞は選挙ビラだけではなく、その他のチラシも折り込まれ、わかりにくく、気づかないまま回収ごみに直行する可能性が高く、有効とは言えない配布方法です。しかも、1枚3円程度の配布代という自己負担も生じてまいります。

45人の候補者が全て4,000枚ビラを作成したとしても、全部で18万枚、先ほどの有権者に渡す手段を考えた場合、読んでもらえるのは5万枚にも満たないのではというのが私の実感であります。こうなると、かなりの市民は1枚のビラも見ることなく投票日を迎えるのではないでしょうか。

その2点目は、候補者にとって歓迎すべきものなのかという疑問であります。それは手間と意欲という点です。手間は、4,000枚という制限のために1枚1枚証紙を張らなければなりません。大きな組織ならいとも簡単に初日で片づくかもしれませんけれども、組織のない新人候補であれば家内工業で証紙張りに追われることになります。それほどの効果が期待できないとなれば、作成そのものを控えるかもしれません。

意欲というのは、ビラ作成の意欲であります。候補者のうち、どれだけの人が日常的にビラ配布を行っているのでしょうか。日ごろビラ配布を行っていない場合、今回の改正で選挙ビラを作成するとしても、それは選挙というものが候補者間の争いであり、他候補がやっていれば対抗上やらざるを得ない、そういう側面が大きいのではと考えてしまいます。

反対する大きな理由の2点目は、公費負担するなら今回のビラではなく、選挙公報の充実にこそ使うべきだと考えるからです。

その1点目は、選挙とは、複数の候補者から1名を選ぶ行為であります。今回の個人ビラ全部を集めて比較検討するということは、大方の有権者にとっては荒唐無稽な話でありますけれども、全候補者が掲載されている選挙公報なら、いとも簡単に比較検討ができます。

その2点目でありますが、選挙公報は、前回市議選で13万5,000部作成され、全世帯に1枚1枚丁寧に配布されております。それだけでなく、図書館などの公共施設から主要スーパーマーケットまで市内64カ所に置かれていて、有権者がたやすく手にすることができます。また、市のホームページにもアップされています。制限のある個人ビラとは雲泥の差があるわけであります。

また、質疑で明らかでありますけれども、選挙公報については法的な規制は皆無と言っていいぐらいありません。1人当たりの掲載面積を拡大する、全国で初めてのカラー印刷にすることも可能であります。今回のビラ公費負担の予定経費は135万1,800円でありますけれども、全国初のカラー印刷は、それよりも10万円下回って125万円でできます。現行よりふえるのはわずか54万円にすぎません。選挙管理委員会にご検討をお願いするものであります。以上から、最少の経費で最大の効果という財政原則から照らして、個人ビラよりも選挙公報の充実が望ましいというのは明白であります。

反対する最後の理由は、議会提案するに当たっての真摯な検討の欠如であります。提案内容である単価7円51銭、2種類、枚数4,000枚と全て国の示した内容であり、本市の実態からしてどうなのかの検討はありません。そのために、ポスターやガソリン代の高過ぎる上限額となり、不正を生みやすくなっています。

今回の提案のビラについても、どれだけ有効なのか、それ以外の有効な手段として何があるのか、真摯な検討があったとは思えないことであります。ぜひ、国の提案に唯々諾々と従うことなく、本市としてどうなのか、主体性と独自性を発揮して、よりよい提案をしていただくよう要望して、私の反対討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

※こちらの記事は旧ホームページの内容を移植した物で、日付も当時のものです。